開発で、医療・福祉・介護に貢献
デジタル化に向けた課題を解決して
人々の生活を豊かにする技術開発に取り組んでいます
遠隔服薬管理システム
「かれん」
デジタル機器が苦手な高齢者や多忙な薬剤師に
ベネフィットをもたらす開発
誰もが使い慣れたお薬カレンダーをデジタル化しました。薬を飲む時間を知らせたり記録したり、その情報を遠隔に通知して管理することもできるので、薬の飲み忘れや患者さんの服薬習慣を見守ることが可能になりました。機械が苦手な高齢者の方でも簡単に使えるように、極めて感度の高いセンサや筐体機構を開発しました。また、多忙な業務に追われる薬剤師の方々にも、より負担なく運用・活用してもらえるように、これまでにないアプリケーションの開発にも取り組んでいます。
誰にでも使えるカレンダー型
ちょうどいい見守り感覚。
患者さんと家族、薬局をつなぎます。
薬局から患者さんに連絡をするだけでなく、患者家族が患者さんの服薬状況を見て薬局に問合せができるようになります。より多くの目で患者さんをフォローすることで、薬局の業務負担やリスクも低減します。
従来通りの使い方で
デジタル化するアイディア
患者宅に据え置く本体は、薬包を入れるポケットが並ぶ「お薬ホルダ」と、見守りセンサや通信機能などが備わる「かれんボード」から成ります。今まで通りの服薬方法と、より簡便な薬のセットを可能にします。
薬局で薬をセットし、数週間分をまとめて届けることができます。ポケットの数は8日分(4回/1日)あるので定期的な訪問による薬の入れ替えが可能です。軽くてしっかり自立し、かれんボードへの取り付けも簡単。交換や買い足しも可能なので、常に清潔に利用できます。もちろん単独で服薬用のポケットとして利用することもできます。ポケットは1ヶ月タイプ(31日分)仕様もあります。
電源コードを繋ぐだけで準備完了。煩わしい設定は一切ありません。見守りセンサは、透明な薬包の有無も感知し、リアルタイムにサーバーと通信します。
高感度なセンサ技術
薬包の挿入・取出しを「見守りセンサ」が感知。その時間を正確に通信・記録します。服薬時間になると「お知らせライト」が点灯して飲むべき薬とタイミングを気付かせてくれます。飲み忘れなどは、薬局・担当者に自動で通知することも可能です。
あらゆる明るさの室内でも薬包を検知できる技術を開発しました(※直射日光などの環境下を除く)。また、透明な薬包や複数の薬包でもその有無を安定して検知できます。使う人のことを考えた研究と試作を目指します。
ニーズに応える
アプリケーション開発
患者さんの「服薬リズム」を見える化して、データに基づく的確な服薬フォローを可能にしました。専用のアプリで薬包の有無を遠隔からリアルタイムに確認できます。服薬のタイミングやアラートの設定など、患者さんや業務形態に合わせた細やかな設定を可能にしました。複数台のかれんボードや患者毎の管理が可能で、履歴データの分析など服薬リズムによる潜在的な問題の発見や解決にも貢献しています。
服薬アドヒアランス向上に
向けた取り組み
薬局や薬剤師の視点からみた活用・普及
開発は、産学官の連携体制で取り組んでいます。医師や薬剤師など様々な視点から服薬を考えるために、日本薬剤師会学術大会などへも積極的に参画しています。在宅患者の安全な服薬サポートや医薬品適正使用に対して、効果的に薬剤師が介入することを目指した支援システムを構築し、在宅患者の安全な服薬サポートと同時に患者の服薬状況を正しく把握することが可能となっています。薬物治療の適正評価、医薬品適正使用に対して、薬剤師さんが効果的に介入することも可能にしました。
総合健康メディカルセンター センター長
かれんは患者様の生活リズムが見えるカレンダーです。正しい服薬を促すことで、誤服薬の回避と服薬の支援が効果的に実施できます。遠隔からも確認できる服薬状況は、独居高齢者の見守り機能としても期待できます。また、頓服薬の使用頻度を確認し、遠隔地でも状況の変化を察知できる等、処方の改善にもつなげられます。
デジタル化の普及に向けた
仕組みづくり
ユーザーへの負担を最小限にするためのDX
デジタル化によって様々な人々が連携できるようになります。薬局と患者が繋がる。服薬状況や効能が簡単に見える、伝わる。患者を支える人たちが服薬データを基に患者の状況を効率的に共有できる。患者と関わりの深いケアマネージャーと薬局が繋がる。的確なケアプランで患者に合わせた質の高いサービスを提供できる。
保健医療学研究科 薬学部 薬学科
病態・薬物治療学分野 教授
薬機法改定に伴い、薬剤師は服薬後の患者様の服薬状況の把握や服薬指導を行うことが義務づけられました。かれんは患者様の服薬状況をリアルタイムに把薬でき、治療計画に従って服薬が行われているかを確実に把握することが出来ます。まさに、今後の薬剤師に求められる職能を活かせる最良のシステムであると考えます。
先進技術の開発に向けた
取り組み
薬を飲んだ、を記録できる技術開発
深度センサ技術を活用した「飲んだ」をセンシングする技術の研究プロジェクトを推進しています。また、画像認識技術を活用した新しいシステムによって、さらに使いやすく、手軽に導入できるeお薬カレンダーかれんの開発も進んでいます。
兪 文偉 先生 認知症介護イノベーションコンソシアムCHIBA 理事長
国立大学法人千葉大学フロンティア医工学センター 副センター長
認知症介護支援機能「深度センサを用いた服薬過程モニタリングシステム研究への遠隔服薬システム「かれん」使用」による支援
こんな開発も
高精度アクチュエータ
ミクロの分解能のプッシュプルが可能な、小型アクチュエータです。油圧シリンダよりも手軽に扱え、エアシリンダとは比較にならない正確さで位置決めが出来ます。出力軸が回転しないので、先端部にさまざまな器具を取り付けての使用が可能です。
- 遺伝子工学分野(体外授精等)
- 福祉介護機器(リハビリテーション用機器等)
- 工作機械(高精度の位置決め等)
- ロボット分野(小型、高精度、堅牢)
- 半導体製造分野(ワイヤボンディング工程の精度の向上等)
- 光学機器(顕微鏡用ステージ、焦点精度の向上等)
- 計測検査機器分野
- その他医療用、実験用機器(気体、液体の流量制御等)
動物自動飼育装置
各種動物用飼育装置は、手間のかかる給水や汚物処理を自動化し、常に清潔さを保ちながら省力化とコスト削減を実現させました。新幹線の筐体を製作する工場と連携した錆に強く丈夫で長持ちする各種動物用ケージの設計開発は、医療の発展には欠かせない生物や医学研究を支えています。